上海当代美術博物館

上海当代美術博物館に行ってきた。最初はテートモダンを連想したが、それに留まらない奥行きとスケールで独自の境地に達していた。

現代美術に没入するためには空間的な広さは必要で、広大さを強みとする中国と相性が良いように思った。

 

 

本当に辛い時や試される時に自分を支えてくれるもの、絶対に奪われない財産について考えていた。

研究者としての実績、世に出た研究成果や職場で積み上げた教歴、学務の数々。こうしたプロとしての『CVに現れる成果』は言うに及ばず。

最近は広義の経験もそうした自信の根拠に入ると思えてきた。読んできた本、心動かされた映画や演劇、訪れた場所、出会った人。これらの経験も辛い時に自分を支える力がある。思うにこれらは資産ではなく、自信の根拠、誇りの拠り所なのだろう。

 

なぜ誇りが必要かというと追うべき志があるから。自分にとっての志は、最高の場所を目指して、そこで見られる景色を書き記すこと。

それを研究者として落とし込むなら、「最高峰の媒体から研究業績を出して」「最高の環境のジョブマーケットに参画すること」に尽きる。

夜郎自大にもなりたくないし、居直った鎖国も息苦しいし、サバディカルや国際会議でのお世辞に舞い上がるような「お客さん」にも留まりたくない。

海外に総本山がある分野の人文学者としてそれを目指すのは非合理的なまでに大変なのだが、志してしまった以上仕方がない。