2023/06(研究と教育)

2023/06

<研究>

今月は、研究に関しては一定の進捗があった。博士論文をもとにした投稿論文が、International Journal of Cultural PolicyとJournal of Arts Management, Law, and Societyという二本の査読誌に採択された。どちらも文化政策研究を志した時から絶えず仰ぎ見て、参照し続けてきたジャーナルであり、そこに自分の名前が載ることが、たいへん感慨深く、また誇らしい。

「英国映画政策の歴史研究」というニッチなテーマで行ってきた研究が、幅広い文化政策研究者に読まれるジャーナルに掲載されることも不思議な気分である。

投稿・出版の経緯については、二つの初稿を、目標のジャーナルに投稿し、数ヶ月後に非常に好意的な査読とともに、条件付き採択の結果が出ただけなので、特に共有すべき教訓やノウハウはない。

今後は、博論の中でもより自信がなく、また論文として独り立ちさせるのが難しそうな事例研究や理論パートを論文化して投稿する予定なので、よくある「査読しんどい」という経験をするのはこれからになりそうだ。

また、博論をもとにした論文がすんなり通っても、その後の研究成果が続かなければ情けないので、この夏は気を引き締めて新規論文を書き進めなければならない。

 

並行して、Springer社から出版される編著 Cultural Heritage in Japan and Italy: Perspectives for Tourism and Community Development に論文を寄稿することになった。秋頃刊行予定のはずなので、楽しみである。

 

<教育・学務>

この数ヶ月は、大学教員として授業を初めて担当した学期期間であったこともあり、なかなか気が休まらなかった。とはいえ、採点および講評も終わり、授業評価アンケートの結果も集計されたことで、ようやくひと段落ついたところ。

授業評価は、ビザ申請の遅れから自分だけフルリモートで講義を行うという逆風にもかかわらず、学科全体の平均をはるかに上回る評価で、個別のコメントも概ね好評だった。

授業を「頑張り過ぎた」自覚はあったのだが、こうして目に見える成果が出て非常に嬉しい。未だに英語で教壇に立つ前は憂鬱な気持ちになるのだが、この授業評価アンケートは保管しておいて、不安になったときに見返そうと思う。

来学期は引き続き大学院での講義を担当し、「メディア文化政策概論」と「修論指導」を受け持つ。教育歴のポートフォリオを広げておくことで転職の幅も広がると確信しているので、新しいテーマで教育に携われることは大変にありがたい。

 

ビザ申請についても進展があり、就労許可証(work permit notice)と招聘状(invitation letter)が届いたので、いよいよビザ申請が完了する。自分自身も、また現地で待たせているパートナーも焦れていたところだたったので、早く渡航を済ませて安心したい。