博論口頭審査:個人的振り返りと有用情報共有

博士論文の口頭試問が無事終わったので、その振り返りを兼ねて過程を記録しておこうと思う。

…のですが、俺の振り返りなどどうでもよくて、数日前までの俺のような、「博論審査に怯える全ての大学院生」に観て欲しい超絶役立ち動画を二本お伝えしたくてこの記事を書いています。騙されたと思ってこの二本の動画を観てください。

1. 博論口頭試問に関して

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2. 博論審査後の修正について

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基本的にこの二本の動画を観ていただければ付け加える事はないのですが、サンプルを一つ増やすつもりで個人的な経験も以下に箇条書きします。

  • 自己紹介:日本の大学を出た後、修士・博士を英国の大学院で行っている。人文社会科学のロンドン大学博士課程。夏に某海外大学から専任講師の内定。
  • 2022年8月:就職先から「新学期に間に合わせたいから早く学位取ってくれない?」と催促される。この時点で、「博論審査とその後の修正に時間が掛かり、内定を取り消される」という最悪のシナリオを考え始め、大いに気を病む。
  • 2022年9月:博論の完成が見えてくる。自分の博士論文は、「歴史学」「政治学」「社会学」を含んだ分野横断的な研究だったので、各分野の専門家から物足りなさを突っ込まれることが負け筋だと思っていた。
  • 2022年10月:指導教官と審査員の選定を始める。この時点で自分が考えていたのは「とにかく通る」ことだったので、優しそうな人・面識ありそうな人を挙げまくるが却下され、結果として『歴史研究の超大家』と『社会学研究の気鋭』を呼ぶことに。この人選に震えて、指導教官をちょっと恨む。
  • 2022年11月:博論提出。
  • 2022年12月:博論審査を近年終えた友人・先輩に色々と話を聞く。こうした体験談は非常に勉強になった。特に親切な人は、いわゆるexaminer reportsまで見せてくれて本当にありがたかった。
  • 2023年1月:指導教官および副指導教官と模擬面接(mock viva)を行う。ここで、基本的な質問にもすっきりと答えられない自分を発見して焦る。ここで言われたのが「質問に即答しようとしなくていい」「質問内容は必ずメモを取ろう」というものだった。
  • 2023年1月:模擬面接で与えられた質問をリストにして、模擬回答を作る(このリストも問い合わせて頂ければ共有します)
  • 2023/01/26:博論口頭試問。この数日前に博論を読み返していたらタイポが複数見つかって気を病む。
  • 博論審査では審査員が努めて和やかな雰囲気を出してくれ、最初の質問も(おそらくはあえて)、定番の「この博論のoriginal contribution to knowledgeはなんですか?」というものにしてくれたのが有難かった。
  • 以降の質問は込み入った専門的なものなので割愛。質疑応答の時間はトータルで70分ほどだった。
  • 和やかな笑顔の中から、内容自体は割と厳しい質問が多々あり、文字通り博論の「ディフェンス」を行っている感覚があったが、それが最高に楽しく、勉強になった!

博論審査結果は、「修正なし合格(pass without correction)」という一番良い評価がきたので、これで諸々間に合いそう。セーフ。

最後に、個人的な肌感覚ですが、「口頭試問がボロボロだから不合格」ということはなさそうだが、「口頭試問のパフォーマンスでpass without correction/with minor correction」の間の行き来はありそうだな、と感じています。特に自分の博論は「狭い領域でがっちり想定読者に伝わる」という類のものではないので、口頭で補足説明をして初めて審査員を説得し切れたといいますか。根拠はないですが。

似たような境遇の方で何か質問があればご連絡ください!リンク貼った動画二本、観てね!