新任大学教員、恩師に助言を受ける

蘇州の大学院で専任講師として着任し、先週から授業が始まった。
大学院の授業を受け持ち、教授会にも参加必須となり、教育・学務に費やす時間が増え、何よりも研究だけに専念出来ていた博士課程の頃とは「頭の作り」が変わっていくような感覚、もっと言うと危機感がある。このままでは自分が研究者として萎んでいくのではないか、という危機感。
そこで、激務に定評がある国立大学の教員であり、国際提携や院生指導などもやりつつ研究も着々と積み上げてこられた母校の恩師に相談をしたところ、有益な助言を多く得られた。
 
(1)毎日30分必ず研究する
基本だが継続は大事。研究できない日が続くと再起動に時間がかかる。夜寝る前に関連論文にさっと目を通すくらいでも十分。よりストロングスタイルとして、「朝起きて最初の二時間は研究のために使え」という助言もある。
 
(2)授業の中にも自分の興味を持ち込む
文献購読一つ取ってもやりようはある。狭過ぎない、既存の研究との関連が強過ぎないテーマで興味を持てる文献を扱う。
 
(3)論文の抜き刷りを送る
研究領域のスターのもと、ロンドンで博士院生をしていた頃とは自ずと状況は変わっており、世界中の研究者との交流の機会は意識的に作り出す必要がある。その一環として、自分の論文の抜き刷りを引用した研究者、影響を受けた論者に論文のコピーを送る。無視されることの方が多いが、やって損はない。
 
(4)中長期の研究滞在の時間を作る
現地での史料収集やフィールドワークを最短に済ませるのではなく、滞在期間を長く取る。現地で漠然と考えたことが研究の着想に繋がる。研究者として縮小再生産に陥らないために、海外で過ごす時間をある程度確保することは極めて重要。
 
(5)研究会に出る。それ以上に、懇親会にしっかり出る
「懇親会には出よう」という助言は嫌われるし、人にも言いにくいが、少なくとも自分は実践する。同時に、自分が運営するセミナーシリーズでも研究報告の後、カジュアルな懇親の場を設けるべきと考えた。