大学教員一学期目と若干の悩み(2023/09)

9月に入ってから、いよいよ新学期が始まった。先学期はビザ申請の兼ね合いでフルリモートで教育と学務に携わっていたので、現地で正規の戦力として大学勤務をするのは、今回が初めてで何もかも新鮮。今月から始まった仕事内容は以下。
  • 博士課程院生の指導。これはリヴァプール大学の教員と合同で行うため、今は足並みを揃えているところ。
  • 文化政策・メディア政策に関する大学院での講義・ゼミ・チュートリアル。この担当科目のために、自分がこれまでに受けたWarwick, King’s College Londonでの教育内容と文化政策研究の基本文献・重要文献を読み直しているが、これが本当に勉強になる。まだまだスライドと講義内容を磨き上げる余地が大きく、これは自分の知的財産として生涯かけて更新していきたい。
  • 上記の担当科目に関する企画・成績評価・学習効果についての書類作成。これは英中双方の文科省に提出した上で、同僚・リヴァプール大学の教員・英国他大学の教員にそれぞれ審査されるため、学びが多い。
  • 修論執筆のためのゼミ。40人の修士課程二年生に対して修士論文を書き上げるための方法論を叩き込む。7時間×6週間というなかなかに詰め込んだ時間割。
  • 修論指導。15-20人ほどの院生を担当。この中から有望な論文が見つかれば共著論文として学術誌への投稿を目指す。
  • 大学院の新設コースに向けた調整(旧知の英国大学教員に外部審査員の依頼、新設科目やキャンパス移転に関する協議)
  • 月に一度の教授会、学期に一度の研究推進のための学内会議、新任教員向けの各種研修。
  • Higher Education Academy Fellowshipの申請書類作成(この制度は英国内でアカポス就活するなら極めて重要だが、そうでない人には関係ないので割愛)
  • 学内および中国政府・江蘇省から募集がある競争的研究資金への応募準備
 
これに加えて、自分の研究を進めなければならないため、端的に言って滅茶苦茶に忙しい。そうなったときに、他の研究者からの依頼をどの程度引き受けるべきか悩み始めている。一方で、確かに研究者の世界は贈与経済で回っていると思うので「業績に繋がらない依頼は引き受けません」は短慮だし長期的に世界を狭めると思うが、博士課程のときには迷わず食いついていたような、将来に繋がるかもしれないがフルメンバーとしての参与ではない「共同研究・共著論文未満」のお話を全て引き受けるのは厳しいとも感じる。特に恩がある相手からの頼みだと断りにくかったりするし。特に答えはないのですが、皆さんどうされていますか?