教育雑感

大学院生のエッセイ採点が終わった。今学期教えていたのは、修士課程の文化政策に関する授業で、期末課題もそれに関連した4000 wordsエッセイを2本ほど課した。

この課題を採点することは自分にとって感慨深い経験であった。何故ならば、自分自身の大学院留学と通じるところが多かったからである。自分は英国のウォーリック大学院の国際文化政策専攻で修士課程を行ったのだが、今の職場はリヴァプール大学院と同じ入学基準と卒業・採点基準が取り入れられており、両者の内容は比較可能であり、なおかつ今回採点している課題は「自分自身が修士課程に入って最初に受講した、そして最も専門に近かった授業のもの」と全く同じだからである。

自分はこの授業でDistinctionの評価を得たことで、英国で通じる手応えや自信を得て、それが「国際的に活躍する」研究者を目指す原動力になった。

 

それを踏まえて、学生の書いたエッセイを教員の立場から採点した率直な感想として、自分が修士課程の院生だった時よりも優れたパフォーマンスをしている学生がゴロゴロいたことに心躍った。

同時に、「この学生らが英国の空気を吸って、現地の文化に触れたら、どんな知見を生み出すのだろうか」という期待ともどかしさも覚えるほどである。

こと芸術文化・メディア文化・創造経済に関して言えば、ロンドンが世界最高の拠点の一つであり、そこで暮らすことで得られる恩恵は計り知れない。

自分は幸運にもその機会を与えられたが、自分の学生たちは同じく英国の修士号を授与されるが現地の空気を吸うことは出来ない。才能と可能性に満ちた学生たちに機会を提供できない自分がもどかしい。

優秀な学生に、海外の空気に触れてほしい、出来るならロンドンで研究や実務を行う機会に恵まれて欲しい、と思ってしまうが、これも教員の勝手なエゴなのだろうな。

いずれにせよ、学生は素晴らしい。