新学期の手応え

今いる大学に就職してから早くも一年が経過し、今週から新学期が始まった。

今学期受け持つ授業は昨年と全く同じもの(修士課程向けの文化政策概論と修論執筆のための集中講義)で、昨年の教材をある程度は使い回せるので、大幅に時間を節約できている。

その一方で、文化政策概論については自分の専門ということもあり、考えうる最高の教材を作りたいという気持ちがどこかにあり、最新の研究成果を踏まえたアップデートを行なったり、初学者にわかりやすい流れを作るために順番を入れ替えたりするなど、完全に趣味の領域となった手直しを行なっている。

授業と会議で小忙しく動き回りながら、その間に論文を執筆して投稿する。そんな昨年と全く同じことを今学期も繰り返すことになりそうである。

やっていることは変わらないのだが、経験を積んだことで、教育・研究ともに精度が上がって、物理的・精神的な余裕が出来てきたとも思う。

新しく入ってくる同僚の補助を行うなど、自分がフルメンバーとして組織に貢献出来ている自信と安心感がある。

研究に関しては、同じ片手間で書いたワーキングペーパーでも昨年は箸にも棒にも引っかからずデスクリジェクトを繰り返していたが、今年はフィールドトップ以上が既に射程圏である(来月には一本刊行される)。

大学院生から大学教員になった時には非連続的な飛躍を経験した手応えがあったが、一年前から今までは漸進的な成長を遂げている感覚がある。どちらが良いとも言えないだろうが、英語圏で研究と教育に携わり、共同体の正規構成員として貢献出来ていることに充足感を覚える。