2023年の反省(研究編)

2023年は、年初に博士号を取得し、その直後からビザの発給も待たずにリモートで教壇に立ち始めたため、大変に慌ただしい一年となった。

 

研究成果に関しては、春から夏にかけて、博士論文をもとにした原稿が、欧 (International Journal of Cultural Policy)・米(The Journal of Arts Management, Law, and Society) の双方で、文化政策研究のフィールドトップ誌に採択されたことで、自分の研究者としての力量に自信をつけることが出来た。

 

自分のフィールドにおける優れた研究者は必ずこれらの雑誌に論文を載せているが、本当に優れた研究者は1,2本ではなく、同誌から何度も掲載を重ねることで厚みのある議論と蓄積・軌跡を表現しており、それらが文化政策研究という学問領域の発展をもたらしている。だから自分も、最高到達点としての博士論文をこれらの雑誌に載せて終わるのではなく、何度も当たり前のように載せ続けることを目指していきたい。そのためには、新規の研究プロジェクトで結果を出す必要があり、自分の研究者としての試練は今年からだと思う。

 

また、当時の感想戦記事にも書いた通り、二本とも最初の査読で相当好意的なレビューと採択決定があったため、査読対応を通じて力量を付ける経験は出来なかった。

https://yurimangasukisuki.hatenablog.com/entry/2023/08/23/122847

 

などと、肩透かしを食らっていたら、夏期休暇中に立ち上げたプロジェクトに関して、一本は査読ののちReject & Resubmit、もう一本は分厚く手強いコメントとともにRevise & Resubmit という結果が出たため、もがきながら査読対応や再投稿の準備をしている。加えて、今年は自分が寄稿した論集が海外出版社から刊行されるため、そちらに関しても手を動かし続けている。

 

また、出版業績以外の反省点で言うと、とにかく昨年は研究費が取れなかった。中国にある現職場での人文系の競争的研究資金に関しては、日本と比べても相当に機会が少なく、また民間研究助成についても授業に忙殺されている10月ごろに一挙に締め切りが押し寄せてきたため、満足に打席に立つことが出来なかった。今年はもっと計画的に研究費の申請を行いたい。なんとかして科研費にもいっちょ噛みしたい…

 

最後に、2024年の過ごし方について考えている。手元にある原稿や構想をもとに昨年と同じような業績を出し続ける「利確」にも似た作業を継続するべきか、新しいプロジェクトのために大きく雌伏の期間を取るか。正解があるわけでもないし、どちらもやるべきだろうが、悩む。