面接準備、付け焼き刃、自分にあって他人にないもの

自分の考えを整理する場としてこのブログがいよいよ有用になってきた(それを世に出す必要はあるのか?)

 

ともあれ、海外の研究大学から複数面接に呼ばれるようになったことで、今の職場での心の持ちようもだいぶ良くなった。以前は、現職での上司・学部の評価や同僚との関係が非常に気になっていたのだが、今は良い意味でそれらを相対化できており、かえって健全で建設的な関係が築けていると感じる。

 

同時にいわゆるジョブトークの準備をしていて、今の職場で積み上げた経験があることで、話せる内容が増えたと感じる。カリキュラム作成、日々の教育、学生とのコミュニケーション、国際提携とグラント獲得、これまでとこれからの研究。

 

一方で、面接に呼ばれて初めて、自分が普段からこれらの要素について意識的に振り返り、言語化して、プレゼンに落とし込むことを怠っていたのを痛感した。反省している。手癖で研究をして、手当たり次第に論文を書いてきたが、国もテーマもとっ散らかったそれらの研究成果はどのようなビジョンとインパクトを目指しているのか。いつでも3分でスポンサーに向けて伝えられるようでないと。

 

関連して、自分の強みについても振り返っている。今の職場では、英国のアカデミアと最も鮮度が高いコネがあるのが自分で、それが他の同僚にない自分の付加価値をもたらしている。定期的に実施しているセミナーや共同研究・国際学会パネルなども一役買っている。逆に、英国の大学の公募に出すとしたら、日本での競争的資金獲得や今の職場で培った中国の研究者・実務家との繋がり、中国の学生への教育経験とその工夫などが「売り」となろう。

 

こうして書いてみると、英国での経験が中国での強みになり、中国での経験が英国での独自性となっており、動き回ることも悪くないかもしれない。

 

思うに、自分はルールが固定化され、構成員も均質的な「クローズド」な場で競争して勝ち上がっていくにはあまりに能力が低く、外からの強みを持ち込んで、自分にしか出せない価値を打ち出すことが好きだし、向いているようだ。

NetflixのChef's Tableはいつ観ても良い。ファインダイニングの料理人の創造性やキャリアは研究者のそれと通じるものがあり、これをみると代替不可能な独自性、「かけがえのなさ」がどういうものかよく分かる。

https://www.netflix.com/title/80007945